金属熱処理に関する用語「か行(かきくけこ)」
- 加圧窒化法
- 窒化容器内のガスに圧力をかけて窒化する方法。
- 回復
- 冷間の塑性変形によって生じた内部応力が低温焼なましの結果として除去されること。
- 火炎焼入れ
- 炎焼入れ参照。
- 拡散
- 物体の内部で場所によって濃度の差があるときに、濃度の大きい部分から小さい部分へ原子が移動する現象。
- 加工硬化
- 金属に常温加工を施して、すべりを起こして硬化すること。
- 加工熱処理
- 塑性加工と熱処理とを有機的に組み合わせることにより鋼の機械的性質などを向上させる操作。準安定オーステナイトの温度範囲で塑性加工したのち、マルテンサイト変態を行わせるオースフォームがその代表的なものであり、温間加工なども含まれる。
- 過剰浸炭
- 浸炭作業において、浸炭層の炭素量が共析炭素量(約0.85%C)よりも多くなりすぎるような浸炭のこと。
- ガス浸炭
- 鉄鋼を浸炭性ガスの中で加熱し、浸炭を行う処理。
- ガス窒化
- 鉄鋼をアンモニアガス中で加熱し、窒化する処理。
- ガス軟窒化
- 鉄鋼を軟窒化性ガス(浸炭性雰囲気にNH3を30~70%添加したガス)を主体とする雰囲気中で加熱し、軟窒化を行う処理。
- ガス焼入れ
- 鉄鋼を所定の高温状態から窒素、アルゴンなどの不活性ガスで冷却する処理。
- 硬さ
- 硬さは材料の機械的性質を知るもっとも簡単なもので、材料試験では重要な役割をしている。
- カニゼンめっき
- Niめっき法の一種で、電気めっき法と異なり、化学的触媒反応による方法。
- 加熱
- 材料の諸性質が損傷されるほどの高温度まで、金属または合金が加熱されること。あとの熱処理や機械加工または加工と熱処理との組合せの作業で、もと持っていた諸性質を回復出来ない場合には、その過熱はバーニングという。
- 下部臨界冷却速度
- 鋼の焼入れにおいて、初めてマルテンサイトが出始める最小の冷却速度のこと。
- ガルバナイジング
- 鋼の耐食性を増加するために、溶融亜鉛浴に浸せきして鋼の表面を亜鉛で被覆する操作。また、硫酸塩溶液中で電気メッキで亜鉛を被覆する場合もある。
- カロライジング
- 鋼の耐熱性および耐食性を増加するために、粉末アルミニウムまたはこれを含む混合粉末中で鋼を加熱して、その表面にアルミニウムを拡散させる操作。
- カーボンポテンシャル(CP)
- 鋼を加熱する雰囲気の浸炭能力を表す言葉で、その温度で鋼の炭素量と平衡させたときの鋼の表面の炭素濃度で表わす。
- 還元
- 加工材料の表面にある酸化物中の酸素が雰囲気中の成分と化合して、除去される現象。
- 完全焼なまし
- 鉄鋼をAc3点(亜共析鋼)またはAc1点(過共析鋼)以上の温度に加熱し、その温度に充分な時間保持したのち、ごく徐々に冷却してこれを軟化する焼なまし。
- 球状化炭化物
- 炭化物が球状となったもの。
- 球状化焼なまし
- 塑性加工、切削加工を容易にし、または機械的性質を改善する目的で鉄鋼中の炭化物を球状化する焼なまし。
- 吸熱型ガス
- 熱処理用ガスの一種で、燃料ガス(天然ガス、プロパン、ブタンなど)に一定割合の空気を混合して外熱式炉を用いて作ったガスのこと。
- 急冷
- 高温度から急速に急冷する操作。
- キュリー点
- 磁気的変態点のこと。
- 空気焼入れ
- 空気中で冷却する焼入れ。自硬性を有する鋼を焼入れする場合に行われる。
- 空冷
- 加熱された鉄鋼を静かな大気中に放置して冷却する操作のこと。
- 繰り返し焼き戻し
- 高合金鋼、高速度工具鋼などのように1回の焼き戻しで効果が十分あがらない場合に、焼き戻しを2~3回繰り返す操作。
- 黒染め
- 鉄鋼の表面を黒色の酸化鉄で被覆する方法。
- クロマイジング
- 鉄鋼の耐食性を増加するため、高温で鉄鋼の表面にクロムを拡散させる操作。
- 経時変化(経年変化)
- 残留オーステナイトが時間経過と共にマルテンサイト変態し膨張する現象。置割れの原因にもなる。高温焼戻しについては残留オーステナイトが不安定なため発生しやすくなる。対策の一つとして、サブゼロ処理がある。
- 結晶粒粗大化
- 多結晶材を高温に加熱することにより結晶粒が大きくなる現象。
- 結晶粒度
- 多結晶材の単位面積または単位体積当たりの粒の数で表した結晶粒の大きさの単位。一般に、これを面積測定から求めた粒度番号で表わす。
- 結晶粒微細化
- 結晶粒を微細化するために、変態点以上適当な温度に加熱して行う熱処理操作のこと。
- 毛割れ
- 鋼材の仕上面における微細な割れのこと。ヘアークラックともいう。
- 研磨割れ
- 焼入れのまま、または焼戻しが不十分なものを研磨した際に発生する浅い割れ。研磨方向に直角に発生する浅い平行線状の割れと、やや深い亀甲状の割れがある。前者は研磨温度が150~200℃程度で生じ、後者は250~300℃程度で生じる。
- 高温浸炭
- 従来の浸炭温度(900~950℃)よりもさらにさらに高い温度(1000~1100℃)で短時間で行う浸炭のこと。
- 硬化
- 適当な加熱・冷却の処理で硬さを増す操作。時効硬化、析出硬化、急冷硬化、はだ焼硬化などの種類がある。
- 光輝熱処理
- 鉄鋼を保護雰囲気または真空中で熱処理することにより、表面の高温酸化および脱炭を防止し表面光輝状態を保持する熱処理。光輝焼なまし、光輝焼ならし、光輝焼入れ、光輝焼戻しなどがある。
- 高周波焼入れ
- 高周波電流による誘導加熱作用で加熱して行う焼入れ。主に鉄鋼の任意の表面または部分を焼入れする場合に用いる。
- 高周波焼戻し
- 高周波誘導加熱によって行う焼戻しのこと。
- 固体浸炭
- 鉄鋼を固体浸炭剤の中で加熱し、浸炭を行う処理。
- 固溶体化熱処理
- 溶体化処理を参照。