金属熱処理に関する用語「た行(たちつてと)」
- 脱ガス
- 鉄鋼からガスを除去すること。ガスは一般に鉄鋼の性質を悪くするものであるから、脱ガスは良質な鉄鉱を作るのに必要な操作である。脱ガスには脱酸や脱水素などがある。
- 脱炭
- 炭素と反応する雰囲気の中で鉄鋼を加熱するとき、表面から炭素が失われる現象。脱炭している層を脱炭層といい、これには全脱炭層深さ、フェライト脱炭層深さ、特定残炭率脱炭層深さ、実用脱炭層深さなどがある。
- 脱炭深さ
- 脱炭の深さのこと。脱炭深さには全脱炭層深さ、フェライト脱炭層深さ、特定残炭率脱炭層深さ、実用脱炭層深さの4種類がある。(JIS)
(1)全脱炭層深さは生地の浸炭濃度をもつ部分までの表面からの深さ。
(2)フェライト脱炭層深さは鋼の表層部においてフェライトのみの層の表面からの深さ。
(3)特定残炭率脱炭層深さはある特定の残炭率をもつ部分までの表面からの深さ。
(4)実用脱炭層深さは実用上差し支えない硬さが得られるまでの表面からの深さ。
- タフトライド
- イソナイトを参照。
- 炭化物
- 炭素と1つまたはそれ以上の金属元素との化合物。特に2つ以上の金属元素を必要成分とするものを複炭化物という。
- 鍛造焼入れ
- オーステナイト状態で鍛造を施し、そのまま直ちに行う焼入れ。鍛造焼入れには安定オーステナイト状態で行うものと、準安定オーステナイト状態で行うものとの2種類がある。
- 窒化
- 鉄鋼の表面層に窒素を拡散させ表面層を硬化する操作。処理方法には、アンモニア分解ガスによるガス窒化および青酸塩による液体窒化がある。
- 超サブゼロ処理
- -130℃以下の温度で行うサブゼロ処理。温度が低い方が耐摩耗性向上に効果的である。
- 調質
- 焼入れ後、比較的高い温度(約400℃以上)に焼戻して、トルースタイトまたはソルバイト組織に操作。
- 低温脆性
- 室温付近またはそれ以下の低温で、鋼の衝撃値が急激に低下しもろくなる。急激に低下する温度を遷移温度という。遷移温度は鉄鋼によって異なり、一般にもろい材料は遷移温度が高い。
- 低温焼なまし
- 内部応力の低減または軟化を目的として、A1点以下で行う焼なまし。再結晶温度以下で行う場合もある。
- 低温焼戻し
- 150~200℃で行われる焼戻し。硬くてもろい焼入れマルテンサイトが、粘りのある焼戻しマルテンサイトに変化する。焼入れによるストレスが除去でき、経年変化の防止、研磨割れの防止、耐摩耗性の向上などがある。
- T6処理
- Al合金に対する代表的な熱処理方法で、溶体化処理後、人工時効する処理をいう。Al合金にはこの他T3(溶体化処理後冷間加工)やT4(溶体化処理後常温時効)などがある。
- トーチ焼入れ
- 炎焼入れのこと。炎焼入れを参照。